博多港(福岡)から高速船
Hakata Gonoura / Ashibe
- 所要約65〜75分
- 便数1日3〜4便程度
- 運賃片道 約5,000円〜
博多港国際ターミナルは福岡空港・博多駅からバスで15〜20分。日帰りも十分可能な距離です。
九州と対馬のあいだ、玄界灘に浮かぶ島
壱岐島(いきのしま)は、九州本土と対馬のあいだに浮かぶ長崎県の島です。人口はおよそ2万4千人。平地が多くなだらかな地形で、水田が海際まで広がる風景は、「離島」という言葉から想像するものとは少し違うかもしれません。
古代、この島は中国の史書『魏志倭人伝』に「一支国(いきこく)」として記された海の王国でした。大陸と日本列島を結ぶ航路の要衝として栄え、その記憶は原の辻遺跡や、島じゅうに点在する神社に今も息づいています。
神社の数はおよそ150社。道端の小さな祠まで含めると1,000を超えるとも言われます。月讀神社は日本神道の発祥地のひとつとされ、京都へ月読の信仰を伝えたと『日本書紀』に記されています。「神々の島」と呼ばれるゆえんです。
13世紀の元寇では二度にわたり戦場となり、島民は大きな犠牲を払いました。海に開かれていたがゆえの繁栄と苦難。その両方が、この島の歴史をかたちづくっています。
福岡・唐津から船で、長崎から空路で
Hakata Gonoura / Ashibe
博多港国際ターミナルは福岡空港・博多駅からバスで15〜20分。日帰りも十分可能な距離です。
Hakata Gonoura / Ashibe
マイカーやレンタカーを積み込めます。車両の航送は事前予約が必須。高速船より欠航に強いのも利点です。
Karatsu Indoji
唐津・呼子の観光と組み合わせるのに便利。島の南側、印通寺港に着きます。
Nagasaki Iki Airport
小型のプロペラ機で運航。天候による欠航が起きやすいため、予備日があると安心です。
1日およそ6,000〜9,000円。港と空港に営業所があります。島を一周しても約2時間、道はすいていて運転は容易です。ハイシーズンは必ず事前予約を。
路線バスはありますが本数は多くありません。観光タクシーの貸切(3〜5時間で20,000円前後〜)は、運転しない旅行者にとって現実的な選択肢です。
電動アシスト自転車のレンタルが港周辺にあります。アップダウンはありますが、海沿いを走る爽快感は格別。1日3,000円前後。
※ 所要時間・運賃・便数はいずれも目安です。ダイヤは季節や天候によって変わるため、九州郵船・オリエンタルエアブリッジなど各社の公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。
神社、奇岩、白い砂浜、そして2,000年前の王都
Saruiwa · 郷ノ浦町
海に背を向けて座る猿にしか見えない、高さ45mの巨大な玄武岩。壱岐を象徴する景観で、島づくりの神話では「島を繋ぎ止めた八本の柱」の一本とされます。夕暮れの逆光の時間帯が、いちばん猿らしく見えます。
Kojima Jinja · 芦辺町
「壱岐のモンサンミッシェル」と呼ばれる社。干潮時だけ海の中に参道が現れ、歩いて無人島へ渡ることができます。訪ねる前に必ず潮位表の確認を。島全体が神域とされ、石ひとつ持ち帰らないのが古くからの習わしです。
Tsukiyomi Jinja · 芦辺町
月讀命を祀る、日本の神道発祥の地とされる古社。487年に壱岐から京都へ月読の信仰が伝わったと『日本書紀』は記します。杉木立に囲まれた急な石段が印象的で、境内の静けさそのものが見どころです。
Harunotsuji · 芦辺町
『魏志倭人伝』に記された「一支国」の王都跡。国の特別史跡で、弥生時代の集落と日本最古級の船着き場が復元されています。隣接する一支国博物館は隈研吾の設計。展示は英語・韓国語・中国語にも対応し、屋上展望からは遺跡と平野を一望できます。
Tsutsukihama · 石田町
「日本の渚百選」に選ばれた、約600mにわたる白砂のビーチ。透明度が高く遠浅で、夏は海水浴客でにぎわいます。シャワー・更衣室・キャンプ場が整い、家族連れにも安心。壱岐空港から車で5分ほどです。
Sakyobana · 芦辺町
島の東端に突き出す約1kmの海食崖。柱状節理の玄武岩が海へ切り立ち、沖には奇岩が点々と並びます。雨乞いの伝説が残る場所で、風の強い日には波しぶきが崖を駆け上がっていきます。
Iki Dolphin Park · 勝本町
入り江をそのまま網で仕切った天然のいけすで、バンドウイルカが暮らす施設。餌やりやトレーナー体験、水中観察ができます。芸を見せるショーではなく、イルカの生態を学ぶ場として運営されているのが特徴。カフェから眺める入り江も見事です。
Tatsunoshima · 勝本港発
勝本港の沖に浮かぶ無人島。船底が透けるほど澄んだ海と、真っ白な砂浜の奥にそびえる海蝕崖「蛇ヶ谷」が圧巻です。周遊クルーズ(約30分)と、上陸して海水浴ができる渡し船があります。運航はおおむね4〜10月。
Otake Jinja · 芦辺町
猿田彦命を祀る山上の社。境内には奉納された石猿が200体以上ずらりと並び、独特の迫力があります。近年はパワースポットとしても知られ、参道からは島の東側を広く見渡せます。
Harahoge Jizo · 芦辺町
海の中に並んで立つ六体の地蔵。満潮になると胸のあたりまで水に浸かります。腹に穴が空いている(=はらほげ)のは供物を入れるためとも、海女の霊を鎮めるためとも伝えられます。潮の満ち引きで表情の変わる、不思議な場所です。
Sumiyoshi Jinja · 芦辺町
全国の住吉神社のなかでも最古級とされる、壱岐国一之宮。海の守り神を祀り、樹齢1,000年を超える大杉が社殿を囲みます。12月に奉納される「大大神楽」は国の重要無形民俗文化財です。
Makizaki · 郷ノ浦町
鬼が鯨を捕るために踏ん張った足跡と伝わる、周囲110mの海食洞。芝生の岬全体が公園になっており、断崖の向こう、水平線に沈む夕日は島いちばんの眺めです。猿岩から車で10分ほど、セットで訪ねるのが定番。
玄界灘の海の幸、壱岐牛、そして麦焼酎発祥の地
Iki-gyu
潮風を受けた牧草で育つ黒毛和牛。全国の名だたるブランド牛の素牛としても出荷されてきた実力派で、島内では驚くほど手ごろな価格で味わえます。焼肉かステーキでどうぞ。
Uni
壱岐のウニは全国屈指の評価。6〜8月が旬で、ムラサキウニ・アカウニ・バフンウニが順に登場します。炊き込みご飯にたっぷりのせた「うにめし」は島の夏の名物です。
Kensaki-ika
透き通った活き造りは、甘みと歯ごたえが別次元。6〜9月が最盛期です。残った下足は天ぷらか塩焼きにしてもらうのが島流の食べ方。
Kan-buri · Awabi · Sazae
冬は勝本港に揚がる寒ブリが主役。脂がのり、刺身でもしゃぶしゃぶでも絶品です。アワビやサザエは通年、浜焼きで味わえます。
Iki Shochu
ここは麦焼酎発祥の地。約500年前、米を年貢に取られた島民が麦から酒を造ったのが始まりとされます。麦2:米麹1の配合が壱岐流。スコッチやボルドーと同じくWTOが認めた「地理的表示(GI)」の産地で、この名を名乗れるのは島の7つの蔵だけです。多くの蔵で見学と試飲ができます。
Local dining
飲食店は郷ノ浦・芦辺・勝本の港町に集中しています。夜は21時ごろに閉まる店が多く、日曜定休も珍しくありません。人気店やイカを扱う店は、必ず予約を。
赤い湯の湯ノ本温泉と、島の宿
島の北西、湯本湾に面した温泉郷。鉄分を多く含むため湯は赤褐色で、空気に触れるとさらに濃く色づきます。神功皇后が応神天皇の産湯に使ったという伝説が残る、1,800年の歴史をもつ湯です。
宿の多くが日帰り入浴を受け付けており、湾に沈む夕日を眺めながら湯に浸かることができます。泉質は含鉄・ナトリウム塩化物泉。冷え性や疲労回復によいとされます。
入浴の作法:かけ湯をしてから湯船へ入り、タオルは湯につけません。日帰り入浴の時間帯は15時〜20時ごろが目安です。
※ 島全体の宿泊キャパシティは大きくありません。夏休み・お盆・連休は数か月前から埋まります。早めの手配を。
日帰りから2泊3日まで。いずれもレンタカー利用が前提です
博多を朝に発ち、夕方に戻る。ハイライトだけを効率よく回る、はじめての壱岐。
出港30分前までにターミナルへ。レンタカーは乗船前に予約しておくこと。
港前の営業所で受け取り、そのまま西へ向かいます。
島の象徴をふたつまとめて。牧崎公園の芝生を歩くと爽快です。
活きイカ、うにめし、海鮮定食。港の食堂で島の旬を。
どちらも勝本エリア。夏なら辰の島、通年ならイルカパークを。
小島神社に渡りたい場合は、干潮時刻に合わせて訪問順を入れ替えてください。
壱岐焼酎、うにめしの素、かすまきが定番です。給油も忘れずに。
※ 時刻はあくまで一例です。実際のダイヤは必ず公式サイトでご確認ください。
島の歴史と海、その両方を味わう王道プラン。夜は温泉と焼酎、海の幸で。
島の西側の絶景をまとめて回ります。
2,000年前の王都と、神道のはじまり。壱岐という島の核心にあたる部分です。
赤い湯に浸かり、湾に沈む夕日を眺めてから夕食へ。
宿から勝本港まで車で15分ほど。午前の海がいちばん澄んでいます。
蔵見学は要予約の場合があります。運転する人は試飲できません。
レンタカーの返却時刻に余裕を持って。給油を忘れずに。
急がず、島の時間で過ごす3日間。神社めぐりや海遊び、さらに対馬へ足を延ばすことも。
標高212mの岳ノ辻からは島全体を、晴れた日には対馬まで見渡せます。
御朱印を集めながら島を横断。神社ごとに雰囲気がまるで違うのがおもしろい。
夏はマリンアクティビティが充実。冬は代わりに焼酎蔵めぐりと海鮮三昧を。
壱岐からフェリー・ジェットフォイルで対馬へ渡れます。九州本土へ戻らず、そのまま北上する旅程も組めます。
いつ訪ねるか。海の透明度と、旬で選ぶ
気候がもっとも穏やかで、観光にはベストシーズン。菜の花と麦畑が島を黄と緑に染めます。「春一番」という言葉は、壱岐の漁師の言葉が語源とされています。
旬サザエ、アワビ、ウニの走り
海がいちばん美しい季節。ウニと剣先イカの最盛期でもあります。混雑・料金ともにピークで、宿と船は数か月前の予約が必須。台風にも注意が必要です。
旬ウニ、剣先イカ
人出が落ち着き、海はまだ暖かい狙い目の時期。空気が澄み、左京鼻や岳ノ辻からの眺望が冴えます。各地の神社で秋祭りが開かれます。
旬イカ、ヒラマサ、新焼酎
玄界灘が荒れ、船の欠航が増える季節。その代わり寒ブリは絶品で、宿も静かです。温泉と食を目当てに訪ねる、通の季節。日程には必ず余裕を持たせてください。
旬寒ブリ、カキ、アオリイカ
はじめて訪れる方、海外から訪れる方へ
主要施設ではカードが使えますが、小さな食堂や商店は現金のみのことが多いです。ATMは郵便局やコンビニにありますが、深夜は使えない場合も。数万円は持っておくと安心です。
外国から訪れる方は国際運転免許証(ジュネーブ条約)、または日本語翻訳文つきの免許証が必要です。日本は左側通行。島内には狭い区間もありますが、交通量は少なく走りやすい道です。
強風や高波でジェットフォイルは比較的よく欠航します(フェリーの方が就航率は高め)。帰国便の前日までに島を出る、予備日を1日確保するなど、余裕のある計画を。
鳥居の前で一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で手と口を清め、拝礼は二拝二拍手一拝。小島神社のような神域では、石や木を持ち帰らないでください。
主要キャリアの4G/5Gは島内のほぼ全域で通じます。港・博物館・一部の飲食店に公衆Wi-Fi。地図アプリはオフライン用に事前ダウンロードしておくと安心です。
島内に病院・診療所はありますが、専門的な治療は本土への搬送となる場合があります。緊急通報は119(救急・消防)/110(警察)。海外からの方は旅行保険への加入を強くおすすめします。
コンビニやスーパーは港町にあります。観光施設の多くは17時ごろ閉まり、飲食店は21時ごろ閉店。日曜や水曜が定休の店も多いので、事前の確認を。
壱岐焼酎、うにめしの素、かすまき(あんこを巻いたカステラ菓子)、壱岐牛の加工品、天然塩。港のターミナルと道の駅でひととおり揃います。
はい。博多から高速船で往復すれば、島に7〜8時間滞在できます。ただし主要スポットを駆け足で回ることになるので、可能なら1泊をおすすめします。温泉と夕食を含めてこその壱岐です。
回れますが、効率は大きく落ちます。路線バスは本数が少なく、主要スポットの多くはバス停から徒歩圏外です。運転しない場合は観光タクシーの貸切、または季節運行の定期観光バスが現実的な選択肢になります。
博物館や主要観光施設には英語表記があり、英語対応のスタッフもいます。一方、個人商店や民宿では日本語のみのことが多いです。翻訳アプリがあれば大きな問題はありません。島の人はとても親切です。
郷ノ浦港は島の中心で、店やレンタカー営業所が多くあります。芦辺港は博物館や神社エリアに近い港。印通寺港は唐津便が着き、空港にも近い立地です。宿の場所に合わせて選ぶのが賢明です。
はい。イルカパーク、遠浅の筒城浜、原の辻遺跡の広い芝生など、子どもが喜ぶ場所が揃っています。ただし左京鼻など柵のない断崖では、目を離さないようにしてください。
フェリーやジェットフォイルにはペット同伴の規定があり、専用ケージやペットルームの利用が必要です。宿泊施設も受け入れの可否が分かれるため、それぞれ事前にご確認ください。
壱岐はなだらかで移動しやすく、歴史・神社・食を短い日程で楽しめる島。対馬は山深く、手つかずの自然とリアス式海岸が魅力です。はじめての離島旅なら壱岐、じっくり自然を歩きたいなら対馬。船で行き来できるので、両方を組み合わせる旅もおすすめです。